2021年度

2021年度第3回メンバーイベント(2022.3.4 オンライン)

投稿日: 2022/1/17 15:12 (修正日: 2022/2/5 10:15

◆開催日時

日時:202234日(金)

   13:30~15:55 講演会(Zoom)

   16:00~16:45 交流会(Gather Town)


◆プログラム

13:30-13:35 開会挨拶

13:35-14:15 講演「瞬間的に見える錯視とその特性 」

講演者:金子 沙永 先生(北海道大学)

我々ヒトは外界についての情報を得るために視覚を用いているが、我々が“見ている”と感じるものは外界そのものではなく、眼に入力された情報から外界を推定した結果である。時に不十分な入力情報からこの推定を行うために視覚系は様々な手がかりを利用している。手がかりの1つに空間的な文脈がある。それを示唆する典型的な錯視が同時対比である。同時対比はある刺激の見え方がその周辺にある刺激の特性の逆方向に偏って知覚される現象で、明るさ/明度、色(彩度・色相)、線分の傾きなど様々な視覚特性において見られる錯視である。先行研究はこの錯視に緩慢なプロセスが関与していることを示唆していたが、最近の研究からは時間的に速いメカニズムも存在することが推測されている。特に、極めて短時間に観察される際には極めて強い錯視が起こることが確認されている。なぜ瞬間的に錯視が強まるのだろうか?このような特性は他の錯視にも見られるものなのだろうか?こういった疑問点を中心に、本発表では発表者がこれまで行ってきた錯視(同時対比を中心とする)の時間的特性に関する研究を紹介したい。

14:15-14:20 休憩

14:20-15:00 講演「時空間トレンドの推定に関わる知覚的意思決定メカニズム 」

講演者:佐藤 弘美 先生(千葉大学)

近年の研究により,人間の視覚系は多くの情報を「一目で」把握できることが明らかとなっており,そのメカニズムも盛んに研究されている.一方で,人間が自然や社会などの環境から受け取る情報は常に変化しており,人間はある瞬間に注目するだけでなく長い変動のもつ傾向や法則性を見出すこともある.視覚系はこのような時(空)間的に変動する情報のアンサンブルとしてのトレンド,すなわち時空間的アンサンブル統計量をどのように推定しているのだろうか.本講演では,時(空)間次元において確率的に変動する情報を視覚系がどのように処理するかを視覚心理物理学の枠組みで検討した一連の研究結果について紹介する.これらの研究から,人間が時空間アンサンブル統計量を推定する際,まず各時刻における空間的統計量を感覚システムにより素早く推定し,その情報に対する感覚応答を逐次適応的に調整し,その後調整された結果を意思決定メカニズムにより累積していることが示唆されている.さらに,過去に生じた出来事だけでなく未来についての展望的意思決定について,また行動経済学におけるピークエンド則やシステムⅡとの関連についても議論する.

15:00-15:10 休憩

15:10-15:50 講演「瞳孔反応に基づいた心理状態の推定とその工学的応用 」

講演者:金成 慧 先生(宇都宮大学)

近年,人工知能を中心とする情報通信技術の進化により,ヒトとコンピュータの円滑なコミュニケーションが求められるようになってきた.そのツールの1つとして,ヒトの瞳孔反応が着目されている.瞳孔は明るいところで収縮し,暗いところで散大することで目に入る光の量を調整する.この光学的な機能以外にも,古代ローマ帝国時代から,瞳孔は人の心理状態を反映すると考えられてきた.実際に近年の研究により,瞳孔はさまざま認知プロセス(知覚・注意・記憶・意思決定など)の影響を受けることやコミュニケーションとして用いられていることが明らかになってきた.本講演では,瞳孔の光学的・社会的機能や認知プロセス・視覚的注意に関する研究を紹介し,それらの知見を利用した障害診断や情報入力ツールなどヒューマンマシンインタフェースとしての可能性について紹介する.

15:50-15:55 閉会挨拶

15:55-16:00 休憩

16:00-16:45 交流会(Gather Townは、17:00まで)


以下のURLより講演会、交流会の参加についてご連絡ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdhLXUPEisXfdaQYY6RlkcrJIatau0UZTOUBtclzHHCkgp-CQ/viewform?usp=sf_link


◆問合先

  視覚科学技術コンソーシアム 事務局

  E-mail:office@vsat.jp

2021年度第2回メンバーイベント(2021.11.11 オンライン

投稿日: 2021/10/21 14:59 (修正日: 2021/11/3 11:58)

【今回のメンバーイベントの趣旨】

 現在の新型コロナウイルス感染症の状況下で、学会等のオンライン講演会は海外を含めて多数に上り、講演を聴講する機会は増えている一方、VSATも含めて対面の交流会なども開催されず、学術上や共同研究へ向けての人脈が広がっていかないという状況にもあります。

 そもそもVSATは以下にありますように連携や共同研究などを重視しております。


----「設立趣意(抜粋)」----

 本組織は日本における視覚科学技術研究中心を形成するために、視覚科学技術に関する専門家集団(コンソーシアム)を組織し、現場から開発・研究レベルにいたる様々な「視覚」に関わる問題について、視覚研究者と産業界が連携して解決し、社会に発信することを目指しています。

 その趣意からも講演を聴くだけで終了ということでありますと、他の学会等と差が無くなってしまうこともあり、何とかVSATらしさを出していけないか、と考えているところです。


 そこで、今回は設立趣意に立ち返り、また昨今での多人数での対面がなかなか出来ない状況がVSATで2年近く続いていることをふまえて、今回の2021年11月のメンバーイベントでは、VSATの各メンバーの活動状況の報告を中心とする会にすることと致しました。

 まず1件目は、幹事の山内泰樹さんの最近の活動として、睡眠研究への展開について「山形大学における睡眠の研究(仮題)」の講演を御願いしました。山内先生は現在、山形大学 睡眠マネジメント研究センターのセンター長として活動されておられます。なお従来の講演では質問時間を15分程度取っておりましたが、今回ではGather Townでの交流会を利用して頂く観点から、質問時間をごく短くしております。

 2件目として「(座談会)VSAT会員が感じている新型コロナの影響と現状 -VSAT再始動に向けて-」を行います。その趣旨は以下の通りです。こちらも議論は引き続きGather Townでの交流会で御願いします。


----(座談会の趣旨)----

 コロナの影響により新しい人との出会いが制限され、産学連携の形も変わってきているのではないでしょうか?

 コロナの影響は、大学、企業、研究機関といったそれぞれの立場や、業種によって大きく異なっていると想像します。産学連携には、お互いの状況やニーズの相互理解が大切です。また、新しい社会環境に対応するための新たな課題もできていると思います。

 VSATの再始動にあたって、立場の違う何人かのメンバーからコロナの影響や現在のお仕事の状況を伺い、今後の連携のための情報共有を図る場としたいと考えます。

 また、この座談会の後に行われるオンライン交流会で、メンバー同士でお互いの状況や問題意識について情報交換していただくきっかけとしたいと思います。


 今回のメンバーイベントについては、上記の趣旨をふまえまして、新しい試みとして交流会を前回のメンバーイベントでのZoomによる交流会ではなく、Gather Townというツールを使って個別の交流を可能とする形式で、行います。


----(Gather Town導入の趣旨)----

 Zoomでは全員に話が聞こえてしまい、初対面挨拶などの細かな話も出来ないため、飲みながらの交流会の機能を代替することが難しいという問題を捉えました。

 そこで、VSAT的な特徴である、協賛企業、メンバー、幹事や運営委員会メンバー間での交流を出来るだけ促進するため、今回は試験的にGather Townを取り入れて、その中で「個室(部屋内のみ音声対話可能)」での個別会話や「自由フロア(アバターとの距離が近ければ音声対話可能)」や「ソファ(着席者が音声対話可能)」での集まっての小さな単位での交流が出来ればと考えています。

 なおGather Townは初めてという方も多いと思いますので、以下の日程で事前の接続テストをVSAT事務局により実施します。


----(Gather Town接続試験)----

11月 5日(金曜日) 11:30-13:00

11月 9日(火曜日) 13:30-15:00(幹事会終了後)

11月10日(水曜日) 16:30-18:00(メンバーイベント前日)



◆開催日時

日時:2021年11月11日(木)

   オンライン講演会:13:30~14:55(Zoomによる実施を予定)

   オンライン交流会:15:00~15:30(Gather Townによる実施を予定)


◆プログラム

13:00~ ログインタイム(受付)

13:30-13:35 挨拶

13:35-14:10 (Zoom形式)講演「山形大学における睡眠研究について(仮題)」

講演者:山形大学 睡眠マネジメント研究センター長 山内泰樹教授

14:10-14:15 休憩

14:15-14:55 (Zoom形式)座談会「VSAT会員が感じている新型コロナの影響と現状 -VSAT再始動に向けて-」

コーディネーター:静岡県工業技術研究所 企画調整部長 鈴木敬明博士

(座談会の趣旨)

コロナの影響により新しい人との出会いが制限され、産学連携の形も変わってきているのではないでしょうか?

コロナの影響は、会員の皆様が置かれた状況によって大きく異なっており、なかなか立場の違う方の状況が想像しにくのではないかと考えます。産学連携には、お互いの状況やニーズの相互理解が大切です。また、新しい社会環境に対応するための新たな課題も出てきていると思います。

今回、会員の企業人(3名)、大学教員、眼科医、公的機関職員のメンバーから、新型コロナの影響や現在のお仕事の状況を伺って、VSATの再始動、今後の連携のための情報共有を図る場としたいと考えます。

また、この座談会の後に行われるオンライン交流会で、メンバー同士でお互いの状況や問題意識について情報交換していただくきっかけとしたいと思います。

14:55-15:00 休憩(Gather Townログインタイム)

15:00-15:30 Gather Townによるメンバー交流会(接続16:00に終了)


以下のURLより講演会、交流会の参加についてご連絡ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf24cDgP1Li1w9VCM2NptZdBcAtzPRZhRqLYOKuNu-Z1i6Z9A/viewform


◆問合先

  視覚科学技術コンソーシアム 事務局

  E-mail:office@vsat.jp

2021年度第1回メンバーイベント(2021.7.28 オンライン)

投稿日: 2021/07/5 13:37

開催日時

日時:2021728日(水) オンライン講演会:13:30~17:00 オンライン交流会:17:05~17:35

(Zoomによる実施を予定)


プログラム

13:30 開会の挨拶

13:35〜14:25 講演1 「皮膚色の計測方法と化粧品分野における応用」

菊地 久美子 氏(資生堂 グローバルイノベーションセンター)

 肌色の実態を詳細に捉えることは,化粧品研究において重要な課題の1つである.従来, 肌色の計測には主に分光測色計が用いられ,得られる分光情報(スペクトルデータ)から色彩値または肌の構成色素(メラニン色素,ヘモグロビン色素)を解析することで評価が行われてきた.分光測色計により得られるデータは,空間的には点計測 (1次元計測) をした値である.一方,シミやソバカス,にきび,クマなどの肌色に関連するトラブルを詳細にとらえるためには,計測の空間次元を2次元(画像計測)で行う必要がある.近年,多分野で応用が進むスペクトルカメラは2次元画像の画素毎にスペクトルデータを撮影できる,非接触・非破壊な計測装置である.本講演では,分光測色計・一般的なRGBカメラ・スペクトルカメラについて,それぞれの特徴と化粧品分野での応用例を紹介する.

14:25〜14:40 休憩

14:40〜15:30 講演2 「顔と肌特有の色知覚特性」

溝上 陽子 氏(千葉大学 教授)

 顔の色の認識は、健康状態や年齢、情動等を判断する際に重要であり、顔の肌に特有の色知覚特性があると考えられる。これらの知覚には、肌色特有の色分布や色変化特性が関わっていると考えられる。そこで、顔画像を用いて肌色変化に対する弁別特性について検証したところ、ヘモグロビン増加方向の色変化に対して弁別能が高いことが示唆された。また、日本人の場合、平均明度が同じでも、赤みがかった顔の方が黄みがかった顔よりも明るく(白く)見えるが、外国人被験者では異なる明るさ知覚特性が認められた。これらの研究は、顔や肌における色知覚は特別であることを示唆している。しかし、その特性や要因については、さらなる検証が必要である。

15:30〜15:45 休憩

15:4516:55 講演3 「視覚科学技術に関する産学連携研究の現状と課題 」

岡嶋 克典 氏(横浜国立大学 教授)

 大学と企業の共同研究は、今や大学(特に理工医学系)において研究予算を外部から獲得するために欠か せない制度であり、国立大学では教員評価の一項目にもなっています。また、大学人が企業や社会の真の ニーズを知る貴重な機会でもあります。今回取り上げる話題は、「大学人と企業人がどのように互いの共同 研究先を開拓し合うべきか」についてです。特に視覚研究は、「視覚」という狭いのか広いのかよくわから ない研究対象を取り扱っていることに加え、(材料や機械工学のように)研究内容が直結的に何かの産業に 結び付かない比較的基礎的な研究領域(研究者もマニアックなネタが好き)であるがために、企業の人から 見ると何をやっている(人な)のかがわかりにくく、また研究者の方も自分の研究が企業や社会で何の役に 立つか具体的に考えていないことが多いように見受けられます。

 本講演では、当研究室での産学連携研究について紹介しながら、視覚研究は産学連携研究ネタの宝庫であること、また上記の問題をどのように解決してきたのか/すべきなのかについて話題提供するとともに、今後VSATが取り組むべき課題等について言及します。

16:55 閉会の挨拶

17:00 終了

17:05 オンライン交流会

17:35 オンライン交流会終了予定

(*)時間的な制約もありますので、オンライン交流会は交流目的を主としておりまして、特に講演についての議論等に特化した内容ではございません。


参加申込方法

オンライン講演会・オンライン交流会申込みは下記のフォームから21日()までに、お申込みください。

申し込みフォームはこちら:https://forms.gle/WmBfikmeFEwi1MiUA


問合先

視覚科学技術コンソーシアム 事務局

E-mail:office@vsat.jp